Reggae 70's〜

【レゲエ 和訳】Bob Marley & The Wailers – Redemption Song

レゲエを語るには外せない一曲。この曲を聴けばレゲエってどういう音楽なのか大体わかる。

精神的な支配から抜け出すことで自由を取り戻すことを歌うレゲエの不滅の一曲。

支配とは支配者と非支配者がいて成り立つものである。自分が精神的に支配されていなければ誰もあなたを支配することはできないのである。

【レゲエ 和訳】Bob Marley & The Wailers – Redemption Song

その昔 海賊が”僕”をさらって

商船に”僕”を売り飛ばした(*2)

ほどなくして 彼らは”僕”を取り出した(*3)

地獄のような船底から(*3)

だけど僕の手は逞しくつくられていた

全能の神の手によって

僕たちはこの時代を進んでいく 勝利を手に(*4)

一緒に歌ってくれないか

この自由の歌を

だって僕にはこれしかないから

自由への歌(*5)

自由を取り戻す歌(*5)

精神的な支配から君自身を解放して(*6)

他の誰でもなく 自分自身だけが己の心を自由にさせられる(*6)

原子力を恐れることはない(*7)

誰にも時は止められないのだから(*7)

一体いつまで 彼らは僕たちの預言者を殺すのだろうか(*8)

僕たちがそばに立って見てる間に(*8)

誰かは言う それはほんの一部分にすぎないと(*9)

僕たちによって書は全うされるのだ(*10)

一緒に歌ってくれないか

この自由の歌を

だって僕にはこれしかないから

自由への歌(*5)

自由を取り戻す歌(*5)

自由を取り戻す歌

精神的な支配から君自身を解放して(*6)

他の誰でもなく 自分自身だけが己の心を自由にさせられる(*6)

原子力を恐れることはない

誰にも時は止められないのだから

一体いつまで 彼らは僕たちの預言者を殺すのだろうか

僕たちがそばに立って見てる間に

誰かは言う それはほんの一部分にすぎないと(*7)

僕たちによって書は全うされるのだ

一緒に歌ってくれないか

この自由の歌を

だって僕にはこれしかないから

自由を取り戻す歌(*5)

僕にはこれしかないから

自由を取り戻す歌

自由の歌

自由の歌

歌詞原文

Old pirates, yes, they rob I (*1)

Sold I to the merchant ships(*2)

Minutes after they took I(*3)

From the bottomless pit(*3)

But my hand was made strong

By the hand of the Almighty

We forward in this generation, triumphantly(*4)

Won’t you help to sing

These songs of freedom?

‘Cause all I ever had

Redemption songs(*5)

Redemption songs(*5)

Emancipate yourselves from mental slavery(*6)

None but ourselves can free our minds(*6)

Have no fear for atomic energy

‘Cause none a them can stop the time

How long shall they kill our prophets?

While we stand aside and look, ooh

Some say it’s just a part of it(*7)

We’ve got to fulfil the book

Won’t you help to sing

These songs of freedom?

‘Cause all I ever had

Redemption songs

Redemption songs

Redemption songs

Emancipate yourselves from mental slavery

None but ourselves can free our mind

Oh, have no fear for atomic energy

‘Cause none a them-a can-a stop-a the time

How long shall they kill our prophets

While we stand aside and look, oh

Yes, some say it’s just a part of it

We’ve got to fulfil the book

Won’t you help to sing

These songs of freedom?

‘Cause all I ever had

Redemption songs

All I ever had

Redemption songs

These songs of freedom

Songs of freedom

引用元:Bob Marley & The Wailers – Redemption Song

注釈

(*1)

Old pirates = 海賊・海からやってきた略奪者のことで、歴史の中でアフリカ人を奴隷として売り飛ばした異国民のこと。

具体的な名前で一番上げられるのはアフリカ大陸を発見(アフリカ大陸の存在を知らないアフリカ人以外の人間で最初に発見)したコロンブスとコロンブスのスポンサーになっていたイザベル女王。

they rob I = 力ずくで連れていかれた。ここでのIは『自分』だけという意味ではなくて、ボブマーリーがラスタマン(ラスタファリズムという思想を持つ人)であることから、ラスタマンの持っているI & Iの概念(自分と他人は同じであり自分と他者を区別しない概念)で「当時奴隷として無理やり連れて行かれたアフリカの人々全て」のことを指すとして考えることができます。

(*2)

merchant ships = 商船 奴隷船(奴隷を運んでいた船)

奴隷として連れて行かれた人間は船の底にぎゅうぎゅうに押し込めるという地獄のような状態で運搬されていたので、目的地に着く頃には三分の一くらい死亡することもあったらしい。(もっと多い可能性もある)

(*3)

bottomless pit = 直接的には「底のない穴 (もしくは底のない掃き溜めとか)」という感じになりそうですが、英語でこれは”地獄”や”奈落の底”といった「終わりのない闇」という意味で使われるらしい。

ここで言われているbottomless pitは、あらゆる可能性を考えた上で「奴隷として売られて押し込められた商船の船底」以外にありえないかと思う。

they =略奪者・奴隷商人

I = 奴隷商人の視点では船底に詰めていた商品(アフリカ人奴隷)

Took = (船の底に詰めていた商品を)取り出した

(*4)

triumphantly (勝ち誇るなどの意味)

ここの一文は「自由を手にしている状態で今現在を私たちは前進して行く」ことがここでいう「勝利」の意味と思ってます。

それは社会的に平等な権利が認められるとかそういう社会的な意味だけではなくて、もっと本質的な「命はもともと自由であって誰に支配できるものでもない」っていうことを『わかってる』状態こそが”勝利”だと考えてます。

時代の背景的にまだまだ奴隷の歴史が今現在より遠い昔のことではなく、黒人差別が今現在よりあからさまだった時代だったことを考慮して考えています。

この歌がリリースされる15年くらい前にアメリカでは黒人の「他の人種と同等に生きる権利」が法律上認められるということがおきていて、それ自体はそれまでの差別がいかに酷かったのかを考えるとすごいことだとは思いますが、自分が生きる上で元々持っているはずの平等な権利をわざわざ法律で定めないといけないってどうなん?という話です。ただ、目に見える被害(暴言とかも含む)を減らすっていう意味では素晴らしいとは思いますが。(今も完全になくなったとはとても言えないですけども。)

上記はあくまでこの社会で生きる上での話であって、自由の本質はもっと違うところにあるとして考えてます。

(*5)

この歌の真髄は『人は皆自由であり 自由であることを知らないといけない』。
ただこのバビロンシステムは人から精神的な自由を奪う構造になっている。
それゆえに人は精神的に支配されている状態になっている。

支配とは支配者と非支配者がいて成り立つものである。その精神的な支配から抜け出すことで自由を取り戻すこと。自分が精神的に支配されていなければ誰もあなたを支配することはできないのである。

redemptionが救いの歌として訳されることが多いのは、自由を取り戻す救いの、救済の意味にフォーカスしているのだと思う。「精神的支配から解放されて自由になる」ことが人にとって救いであるという事です。
全体を聴くとわかるように、この歌は「精神的支配から解放されて自由になる」ための歌です。
曲の最初に奴隷の歴史の場面が出てきてそれがかなり印象強いですが、その後は全て現在を歌っています。
この歌でものすごく重要なところは、二番に出てくる
「Emancipate yourselves from mental slavery /None but ourselves can free our minds」の部分だと思っています。
Bob Marleyはラスタマンであることから、神の名の下に生きていることでそこに神による救いという意味にすることも間違いではないと思う。
その上でこの「Redemption」は「salvation(救い)」よりも「Freedom(自由)であること」を前面に押し出すべきという考えに至りました。
RedemptionがFreedomって、言葉の定義的にぶっとんでないか?と思われそうなんですが、Redemptionという言葉自体には、「償還」「救済」などの意味で使われることが主であり、「償還」は経済的な場面で使われる事が多く「救済」はキリストによる贖罪からきている意味が含まれています。(おそらく
もともとの意味がそうで、そこからあらゆる場面で宗教的観念なしでも使われるようになってるんじゃないかと・・・)
ただ、言葉のそもそもの意味は「redeem」の名詞形であり、redeemは「~を埋め合わせる,(名誉など)を
挽回する; を買い戻す」が根本的なニュアンスだそうです。(ちなみに救い主って意味でRedeemerという言葉もある)
「償還」は「マイナスが出たものをプラスで埋め合わせる」
「救済」は「人々の背負っているものを消す」
などで、総じて「元の状態に戻す」というニュアンスが含まれていると考えています。
かつ、この歌の中で「精神的奴隷から自分を解放できるのは他でもなく自分だけ」と言っているように、ここでいっている自由とは「神によってつくられた自分たちは、本来何にも支配されていない状態であり、自由である」わけで、支配っていうのは支配する側とされる側がいて成り立つもの。だけども、支配する側がどれだけ支配しようと企んでも、「自分のもつ自由は誰にも支配できないものである」ことをわかっていれば「支配は成り立たない」わけです。だって元から私たち自由を持っているので。

ただ、この現在の社会の構造とは、何か(例えば金など)によって一般市民は精神的に支配されることになりがちな構造になってしまっています。「自分が自由になればそういう社会構造をぶっ潰せると言っているわけではない」です。そういう理想論ではなくて、そういった社会構造の中で生きていたら、「精神的な自由は誰にも侵す事ができないが、自ら精神的な自由がないことを選択してしまいがちな社会になってる」ので、ある意味「精神的な支配とは自分の思考から生まれる」わけです。
だからこそ、「自分しか自分を精神的に支配できるものも解放できるものもいないんだから、それに気づいて本来自分が持っている自由を取り戻そうよ」の「自由を取り戻す」がここでのRedemptionにあたると私は思ったわけです。それが「自由への」に私が含んでいる真意です。
「本来あるべきの状態を取り戻す」というのはレゲエでもよく「俺たちが本来持っている平等な権利を取り戻す」に通じるものがあるな~と思います。

(*6)

Emancipate yourselves from mental slavery

あなた自身を精神的な奴隷から解放して(take away yourself from mental slavy)

None but ourselves can free our minds

(自分以外に何も自分を自由にできないということ) でも私たち自身は私たちの心を自由にできる

これは黒人民族主義者で汎アフリカ主義哲学者、活動家でもあったジャマイカ人マーカス・ガーヴェイが1937年に行なった演説の一説、「精神的奴隷から己を解放するのだ。自分の心を自由にできるのは

自分自身しかいない」が引用されている。

精神的な奴隷っていうのは実質何の実害もでていない(かつての奴隷のように暴力によって無理やり働かされるわけではない)としても、精神的な不安を与えたり思考停止状態にすることであらゆる選択肢がなくなり結果として誰かの利益のために動くようになってしまっていること(何かに服従している)、疑問を抱いたり思考することを放棄して無意識に服従してること。

身近なとこで例えたら「いま手元にお金がないわけではないのに、この先の不安からやりたくない仕事から抜け出せずストレスに押しつぶされてる人」とかもそうですし、いま自分が生きているその社会構造が全員に平等なものではないのに何の疑問も抱いてない状態のことなどもそうですね。

力づくで奴隷にして「お前は今日から奴隷」って言うとみんな反抗するから、できるだけ自分が奴隷で

あることに気づかせないように役割を果たさせるほうが確実なので、依存させるような仕組みを作ることで気づかないうちに服従関係を築き上げる。

かつ自分が生まれながらに隷属であることを自覚させないようにする。余計なことを考えさせないようにする。(反乱を起こさず安定させる)。この気づかないうちに依存させるっていうのがすごい恐ろしいことで、これこそが精神的奴隷というのは上記のようにして生まれるものです。(あくまで一例)

(*7)

Some say it’s just a part of it =それはこの世の中で起きていることのほんの一面に過ぎない


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