Reggae 80's〜

【レゲエ 和訳】 Bob Marley & The Wailers – Natural Mystic

これを書いてる今は2023年の2月です。この記事は、以前私が作ったHPが消滅してしまったのでPCに残っていたテキストを復刻したものです。読み返してたら注釈にものすごい長文が残っており、マジで覚えてなくてびっくりしたんですが確かにマトを得てるなぁと思ったんでそちらも載せておきます。

私は翻訳してたらディープなとこに行き過ぎて泥沼にハマることが多々あるんですが、おそらく当時もかなりヤバいとこまで行ってたんやろなーって思いました。

【レゲエ 和訳】 Bob Marley & The Wailers – Natural Mystic

空中を吹き抜けてゆく自然の神秘がある(*1)

よく耳を澄ましたなら 君にも聞こえるだろう

これは第一のトランペットかもしれないし

最後のトランペットかもしれない(*2)

もっと多くが苦しまねばならぬ

もっと多くが死なねばならぬ なぜなのかは僕に聞かないでくれ

物事はこれまでと同じようにはいかないのだ

嘘はつかない

今こそ皆現実と向き合わなければいけない

彼らの全ての質問の答えを探してみても

過去を生きるのは不可能だということは知っていても ・・・嘘はつくな

空中を吹き抜けてゆく自然の神秘がある

それらを抑えることは出来ない

よく耳を澄ましたなら君にも聞こえるだろう

空中を吹き抜けてゆく自然の神秘がある

これは第一のトランペットかもしれないし

最後のトランペットかもしれない

もっと多くが苦しまねばならぬ

もっと多くが死なねばならぬ なぜなのかは僕に聞かないでくれ

空中を吹き抜けてゆく自然の神秘がある

嘘はつかない

よく耳を澄ましたなら 君にも聞こえるだろう

空中を吹き抜けてゆく自然の神秘がある

そんな自然の神秘が 空中を吹き抜けてゆく

空中を吹き抜けてゆく自然の神秘がある

そんな自然の神秘が 空中を吹き抜けてゆく

そんな自然の神秘が 空中を吹き抜けてゆく

そんな自然の神秘が 空中を吹き抜けてゆく

原文

There’s a natural mystic blowing through the air(*1)

If you listen carefully now you will hear

This could be the first trumpet(*2)

Might as well be the last(*2)

Many more will have to suffer

Many more will have to die, don’t ask me why

Things are not the way they used to be

I won’t tell no lie

One and all have to face reality now

Though I’ve tried to find the answer

To all the questions they ask

Though I know it’s impossible

To go livin’ through the past – don’t tell no lie

There’s a natural mystic blowing through the air

Can’t keep them down

If you listen carefully now you will hear

There’s a natural mystic, blowing through the air

This could be the first trumpet

Might as well be the last

Many more will have to suffer

Many more will have to die, don’t ask me why

There’s a natural mystic blowing through the air

I won’t tell no lie

If you listen carefully now you will hear

There’s a natural mystic blowing through the air

Such a natural mystic, blowing through the air

There’s a natural mystic blowing through the air

Such a natural mystic, blowing through the air

Such a natural mystic, blowing through the air

Such a natural mystic, blowing through the air..

引用元: Bob Marley & The Wailers – Natural Mystic

注釈

(*1)(*2)

natural mystic = 自然の神秘

ただし筆者はこの「自然の神秘」には2つの意味があるのではないかと考察しています。

この世界には目に見えない、触ることができないが確かに存在しているものがあって、自分たちには創り出すことも消し去ることもできない”自然的な力”に囲まれて人は生きている。例えば空気がないと人は生きられないが空気は人に見えるものでも掴めるものでもない。この楽曲がリリースされた当時に比べたら科学が発達して色々なことに説明をつけることは出来るようになっても、「なぜこの世界はこのように存在しているのか」「なぜ人とはこのように存在しているのか」などの、「なぜ人が、世界が、宇宙が、精神がこのように存在するのか」を根本まで突き詰めていったとすると、「何かを構築している根本にある原理」がどうして生まれたのかの正解を言える人なんていないと思う。せいぜい科学的や物理的にその仕組みに説明がつけられる部分があるだけであって、「人間に答えられる範囲を超えた自然の原理・自然の摂理」の中に私たちは生きており、はっきりいって超絶不思議まみれな中に人間とは存在しているので、そんな「人間に答えられる範囲を超えた自然の原理・自然の摂理」によって存在しているものを「神秘(理論的な認識を超越してるとか言いようのない事柄)」と表現しているとここでは考えます。

このあとに出てくる歌詞で「トランペット」が出てきますが、これは聖書の黙示録に神の使いとして出てくる七人の天使のことだと思われます。聖書についてはかなり奥が深いのでここではざっくりと私が理解している部分だけを書きます。七人の天使は一人ずつトランペットを吹いていってその度にとんでもない大災害が起き、最後のトランペットは「終末を告げる」トランペットであり、これらは全て「神による審判」であるということです。

「自然の神秘」と「神による審判」が出てくるので、「自然の神秘」は人間が抗えない力を持つ神によって創造されたものであるという考えのもとで使われている表現であると考えます。また、空気というものには神の力が宿っているとした考え方は、神の存在について考える人にとっては割と普通にある考え方のようです。

もちろんボブ・マーリーはそもそもラスタファリズムの思想を持つラスタマンなので、それを知っている方にとっては「自然の神秘」は神の力を指しているというのは説明するまでもないと思いますが。

「自然の神秘」を上記のように考えると、結局のところ神の力というものは到底人に抗えるものではなくて、人間に答えられる範囲を超えており、そういうものだと受け入れることしかできないものであって、私たちはそんな自然の神秘の中に存在しているという視点からの「人間の理解を超越した神の力である自然の神秘」が私の思う1つ目の意味です。

ここまでは誰が聞いてもシンプルにそういうことだよねと思うと思うんですが、ここからは筆者の個人的な解釈が含まれます。

2つ目の「natural mystic」。

ボブ・マーリーはJah(神)を信仰する人間であり、決して自分がJahと同等ではなく人間はJahの創造物の1つであるという考えをもっていると思います。が、この楽曲では「Jahという存在」「Jahの力」を俯瞰的に歌っているという印象があるというか、ボブ・マーリーが人前で何かを話しているとかっていうよりは、彼の精神の中がそのままアウトプットされただけのもののような印象を受けます。

まるで、深い精神世界に入っていってそこでJahと通じ合ったものがそのまま出てきただけのものが歌になったというような印象があります。

ラスタマンにとって「自然が生んだ神聖なる草」として「大麻」があります。日本では薬物と一緒くたにされていますが、ラスタマンにとっては大麻もまた「自然の神秘」であるし「真実が見える草」というかJahと通じれる植物だとされています。(いやいやそれは・・・)と思わずに、世の中にはそういう価値観もあるくらいに思っといてほしい。

そっちの視点からいくと、「自然が生んだ神聖なる草」を吸って(その煙が空気の中を吹きゆけていく)、精神の中で「Jahの神秘的な力」と通じ合って、その精神世界の中で見たものをアウトプットしたものが歌になっていると考えると、めちゃめちゃはまるやん・・・と思ってしまうわけです。

なので私の解釈では、「人間の理解を超越した神の力である自然の神秘」と「自然界にある神聖な草を吸って深い精神世界で神と通じあう」の2つの意味を上手に二重構造にした傑作なんではないかと思っています。

Jah Rastafari.

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