前置き

これはTiktokのリクエストでクラッシュの訳やって欲しいってことで、私の世代で1番有名なGully vs Gaza のMavado vs Kartelのクラッシュをやってみようという試みです。

2人とも気合い入りすぎてて、音楽の枠からはみ出て互いのフォロワー達(MavadoはGully side、Kartel はGaza /Portmore) がガチで死人出る争いに発展してだいぶやばかったやつです。私がリアルタイムで知ってるクラッシュでこれを超えるものはないですね。

というか過熱度でいったら歴史上で1番ではないんでしょうか。

事の発端は私もだいぶうろ覚えとか後から聞いた情報やったりするんですが、確かBounty Killer率いるアライアンスが発端で、Mavadoが先に世界で売れたことで確執が出来ただか、KartelがBountyに侮辱的な態度とってMavadoが怒ったとかそんなんじゃなかったかと思います。ちなみにBountyはまぁ見た目通り怖いは怖いんだが、皆の兄貴分て感じでめちゃくちゃ尊敬されてるからBountyをdisる事は許されないみたいな感じです。今後新しく知ったことがあったらインスタに書くと思うんでよかったらフォローしといてねん⤴︎

この戦いって結局どっちも引かなくて長い事続いてたけど、ひとつKartelの凄いところは相手が誰でも絶対にコントラクション(ディスられたら言い返す)を出すところですかね。売れる前はリリックを書いてアーティストに提供してたりしたのもあって、とにかくリリックの引き出しが多い。しかも相手が誰でもひるまないので昔スティングでNinjamanに物理的な暴力をふるっていましたね。Ninjamanもかなり恐れられている人なので、まぁそんなんも考えるとかなりぶっ飛んでいますね。

対するMavadoは、こちらもGully Sideというゴリゴリのゲットー出身で気合いはもちろん入ってるんですが、Deejayやのに歌うとメロディが綺麗なんですよね。Singjayって昔からいるにはいるんですけど当時ってジャマイカの音楽シーンとか音楽性の転換期って言うんでしょうか、まだMavadoみたいなスタイルがそこまで確立していなかった時代に、綺麗なメロディとパンチのきいた韻踏みでゴリゴリのギャングスタチューンを歌い世界に名前を響かせたっていうのがMavadoのすごいところです。

ちなみに私が10年ほど前にジャマイカに住み出したばかりの時にMavadoの出身地Gullyに住んでいまして、その当時に作ったゴリガザのクラッシュを作ったMixを発見したのでそれを元にやっていこうと思ってます。周りの人に細かくどの順番でクラッシュが起きてたのかとかリサーチして作ったやつなので割とあってるはず。この前からもめてたと思うんやけど、実質この抗争の引き金となったのはこの二曲と思います。RiddimはBeast。

最近はSNSのコンプライアンスが厳しいから、反応が良かったら次もやろっかなっておもてます。(というかコンプラ緩そうと思ってTiktok始めたのにめっちゃ厳しくて辛い)

先攻 Mavado – Gangster nuh play

出だしで”お日様が怖い”とか”吸血鬼”とか言ってるのは、Kartelがブリーチ(顔や体を漂白する)してることをディスしている。

ブリーチしてて、黒くなりたくないからお日様の下歩けないんだよねぇ!?みたいな煽りである。だから、太陽の下だと死んでしまう吸血鬼の意味でヴァンパイアと呼んでいる。

“黒人の誇り”.みたいなのが無いのかってことでディスの対象になるけど今も昔もやる人はやるんですよね。

多分この曲が出る前にKartelとすでに一悶着あって、ここで名前こそ呼んでないが誰もがこれはKartelのことやとわかる言い回しで始まるので、これ以降言ってる事が全部Kartelに対する攻撃となります。

尺の都合で動画に収められなかったが、長い舌(女性のアソコ舐めてる意味、ジャマイカ人はそれする男はゴミ扱い)とかまぁなんか色々言ってます。

ドピバット(duppy bat)、直訳するとお化けコウモリになるが、これは死んだ後の人から出てくる魂の比喩みたいなものです。イラストとかで死んだ人からお化けがスーと出てくるみたいなん見た事あると思うんですがそんな感じです(語彙力崩壊)

一点、ramって言ってるところがあんまわからない。カーテルのラムのブランドがあるからそう言ってるんかなって思ったけど、あの当時からあったかな…?というのがあんま覚えてない。ジャマイカ人の友達に聞いたらラムで酔っ払った奴って事ちゃう?みたいな反応やったからまぁそうなのかも。

後攻 Vybz Kartel – Kill dem all

冒頭でバーバボーイ(床屋)と言ってるのはMavadoが昔床屋で働いてたとかそんなん。父親が関係してた気もするがあんま詳しく覚えてないが、バーバボーイは床屋=Mavadoである。

途中でWeh dem a tryと言ってるのは、Mavadoのヒット曲Weh dem a doのパンチラインで同じリリックがあるからそれをおちょくってんのかなぁと思った。Weh dem a doはBeast Riddimより前に出てるはず。

“自分のパンチラインを人から言われるのどんな気もちぃ!?”みたいなんがおもろいなって思った。まぁでも普通に誰でも使う言い回しやから私の思い込みかもしれないw

それもあって一個前の動画でMavadoのweh dem a doの訳だしてるから見てない人はTiktokチェックしといてねん♪

Mavadoの曲でrise gun ah tallていうラインがあるので、KartelがTall or hand gun (長い銃でもハンドガンでも)て言ってるのもコントラクションでしょうね。

とまぁカーテルはとにかく”やられたらやり返す”半沢直樹バイブスなのであります。

ショート動画にぴー音入れてるのもコンプラ対策です。普通の曲なら多少のことでは消さないんだかど曲の全体像が過激なので、一応。まぁ英文気になる人はググってみて。

あとがき

覚えてる限りで色々書いてみたけど改めて見ると、まぁ賛否両論あるがジャマイカの音楽シーンの一時代を間違いなく築いた2人ですね。

クラッシュはまだまだ続いてゆきます。

私がどっち派かと言えばどっちも化け物なので何とも甲乙つけられないが、10年前にGully住んでた私がここ最近ポートモアのサウンドチームに所属してるのがちょっとおもろいな、と思ってる。

投稿者 DJ AZOO

● DJ AZOO ● 神戸・三宮の老舗レゲエバーJamdungでセレクターとしてのキャリアを始める。 2013年からジャマイカに移住し神戸老舗レゲエバーJamdung系列のMadhills Studioのジャマイカ支部を担当。 2023年現在ジャマイカにてDJ活動、ジャマイカ人アーティストのスタジオ録音作業、パトワ語翻訳、ミックス制作、動画制作などをやってるシングルマザー。

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